こんにちは、hiyokoです。
歯の治療をしているのだけど、なかなか治療が終わらない。
いつ終わるのかしら?
こんな事を、帰り際にボソッと言っていく患者様がおられます。
早く治療が終わってほしいというのは、どの患者様も思っている事ですよね。
でも、しっかりと治療もして欲しいというのも患者様の本音だと思います。
医療者側の意見としては、早く治療を終える事よりもしっかりと治療する事の方が優先されます。
治療回数がかかることによって、途中で治療を中断してこなくなる患者さんもおられます。
患者様都合で治療中断された場合、歯科医院側もその患者様の事が信用できなくなります。
歯科医療従事者としては、途中で治療に来られなくなる患者様を減らしたいというのが本音です。
今回は歯の根の治療について治療の段階をお伝えしていきたいと思います。
歯の根の治療について、理解して頂けたら治療するのに回数がかかるのも納得していただけるかなと思い、今回記事にすることにしました。
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歯の根の治療が必要な歯
歯の根の治療はどの歯科医院でも行われている一般的な治療になります。
根の治療は、何らかの原因で歯の神経(歯髄)が感染や炎症を起こした時に行われる治療です。
例えば、
- むし歯が深くて神経まで届いていた場合
- 歯の神経に感染や炎症が起きた場合
- 一度治療した歯に再感染が起きた場合
- 歯の神経が壊疽した場合
などに行われます。
歯の根の治療の流れ
根の治療の原因は様々ですが、治療としては同じやり方で行います。
今回は歯が痛くて来院されたAさんを例に挙げて説明していきます。
2週間前から冷たいものだけじゃなく熱いものがしみるようになって、我慢していたんです。
昨日から食事が出来ないほどの激痛で。。。
口の中を見ると、むし歯で歯に穴が開いてました。
レントゲンを撮ってみると、むし歯は神経まで届いていました。
むし歯が神経にまで届いていると熱いものがしみるという症状が起きてきます。
レントゲンで確認して、神経まで届いていたら神経を取る治療をしていきます。
歯の神経を抜く(抜髄)
感染した歯髄は残しておくことが出来ませんが、神経を取ることによりその歯を残しておくことが出来ます。
ご自身の歯を長く使っていただく為の治療だという事をご理解下さい。
むし歯の除去
まずは局所麻酔をしていきます。
その後、タービンやコントラと呼ばれるハンドピースを使用してむし歯を削っていきます。
むし歯を取り除くと神経が露出します。
歯の神経や感染組織の除去
ファイルと呼ばれる細いドリルのような器具を使い感染した神経を取り除きます。
根管内の感染組織も一緒に掃除していきます。
根管の数は歯によって異なります。
また、人によって根管の長さが違うので器械を使って根管の長さも測りながら根の先まで触っていきます。
人によっては分岐していたりと複雑な根管の方もおられます。
狭い口腔内で小さな器具を使って感染組織を取り除くので、慎重に行います。
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消毒薬を入れ蓋をする
根管の掃除の後に、消毒薬を入れ時間をかけて根管内を消毒していきます。
根管がきれいになるまで、ファイルで掃除し薬を入れて蓋をするの繰り返しです。
ここで回数がかかってしまうのですが、歯の根の中のをきれいにしないとまた再感染を起こしかねないので、慎重に治療を行います。
歯科医師の判断にもよりますが、大体1~2週間は消毒薬を効かせていきます。
ここでも時間がかかるんですが、この薬を効かせる期間が大切なんです!
感染組織が取り切れていれば治療回数は1~2回で次の段階に進めますが、おおよその目安で2~4回くらいはみておきましょう。
もっとかかる方もおられます。
痛みが取れたからこの時点から来なくなる患者様がおられます。
治療を途中で放棄すると最悪の場合抜歯になる事もあります。
残せる歯だったのに、抜歯になるとか悲しいですよね。
充填剤で根管を密閉
根管内の感染組織の除去が終わると、空洞になった根管内に充填剤を入れて密閉していきます。
治療後に充填剤がしっかり根管内に密閉して入っているのか確認のレントゲンを撮ります。
ここでしっかり密閉できてない場合は再充填を行います。
根管内の充填が終わると、歯の根の治療は終了になります。
その次の段階として、歯のかぶせ物の治療に入ります。
歯の根の治療は終わりましたが、まだ治療は終わりませんよ!
もうひと踏ん張り!!
痛みが取れて楽になりました。
時間はかかりましたが、歯の根の治療をしっかりしてもらえて良かったです。
まだ治療は続きますが、痛みを我慢せずに早めに歯科受診をしておけば神経を取らずに済んだかもしれないと後悔しています。
これからは定期メンテナンスにしっかり行こうと思います。
歯の根の治療を途中で放っておくとどうなるの?
歯の根の治療を途中で放っておくと、最悪の場合抜歯になります。
歯の根の内部は、表面のエナメル質より弱い組織です。
治療を放置する事によって、再感染して根の内部が汚染されていきます。
また根管が空洞の状態だと、歯が割れたりするリスクもあります。
途中で治療を放っておくと、今までの治療も水の泡です。
更に歯の寿命を縮める事になるので絶対にやめて下さい!
まとめ
今回は歯の根の治療についてお話しました。
歯科医師は、狭い口の中で小さい器具を使い、歯の根管にアプローチをしています。
感染組織をしっかり取り除かないと再感染を起こしてしまいますので、歯の根の治療はとても慎重に行っています。
慎重に感染組織を除去していき、お薬を効かせる期間もあるので治療期間は長くなります。
痛みが取れたからそれで終わりではなく、そこからが治療の始まりという事を理解していただければと思います。
歯の神経を取らなければいけない事にならないためにも、定期的にメンテナンスに行くことをお勧めします。
歯が痛いというのを主訴に来院したBさんは、歯科を受診するのも数年ぶりでした。
仕事は忙しくてなかなか休みも取れずに、体に鞭打って仕事を優先しているような方でした。
初診時の診査で、大きなむし歯がありました。
先生は歯の神経を取って治療をしました。
神経を取ってしまうと、今までの痛みが無くなって楽になります。
次の治療の予約を取って帰られたBさんは、その後来なくなりました。
そして1年後くらいにBさんは再び痛くなったとやってきました。
前回治療した歯は蓋も薬も取れており、中でむし歯が進行して脆くなり割れていました。
結局その歯は再構築不可能となり抜歯となりました。
先生は抜いた歯のところは、入れ歯かブリッジかしなければいけない事、
まだ治療は続く事、治療期間は長くなる事を説明されました。
そして、次回の予約を取って帰られたBさんでしたが、、、、
それから来られませんでした。
Bさんのように治療に来なくなる患者様はまぁいますよね。
歯科医師側もそんな患者さんに対しては、最低限の治療しかしなくなってきます。
治療をする側もされる側も、気持ち良く治療が進むことを望みます。
まぁ、Bさんは『痛みが取れたらそれで良い』っていうタイプの人だったのでしょうね。
更に、仕事が休めないというブラック企業の闇が見えました。
その後の自分の歯の事はまた痛くなったら応急処置で良いっていう考えなのでしょう。。。
そういう考えの人と、医療者側とが理解しあうのはなかなか難しいですね。
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